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アメリカ一周を終えて(お礼にかえて)

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6月2日に54日間のアメリカ一周を無事終えることができました。また、横断のドキュメンタリーが5月21日にNHKで放送されました。支援者の方のお力添えがあってのことと改めて感謝申し上げます。

まず、今回の旅で感じたことをお伝えします。

第一に、運転そのものが楽しく気分のいいものでした。疲れていても運転したいと思う時が何度もありました。長い距離を自分の意志で移動できるということは、私のような肢体不自由者にとっては、普通の人以上に興味深いのかもしれません。また、自分で移動することによって就労、レジャー、その他の活動により参加しやすくなるような予感がしました。安全性に対する責任感も同時に強く感じました。

第二に、長い旅の間にAさんとジョン・ベンソンさんとは苦楽を共にしてきました。その中で管理者と介助者という関係を乗り越え、友人としてお互いに支えあうことができました。また、旅の道中で現地に住む友人が、宿、食事、情報を提供してくれたことは、非常に助かりました。旅は道連れとは良くいったもので、旅をおもしろくしてくれるのは現地で出会う人々であり、一緒に連れそう友人達なのです。

第三に、アメリカの、いや地球の美しい大自然を大パノラマで臨めたことはすばらしい体験でした。ニューメキシコの砂漠とサボテン、アリゾナの赤土の大地、カンザスのどこまでも広がる草原、ジョージアの両サイドに林立する木々、フロリダのエメラルドの海、テネシーの巨大な川、海のような五大湖。自然はいかに尊く、その中で人間はいかにちっぽけか。自然はいかに美しく、都市はいかに醜いか。

次に、今後日本で重度の肢体不自由者の運転を普及させるために、この一周旅行および前後の調査でみつけたことを述べます。

ジョイスティック・システムによって、私のような重度の肢体不自由者でも運転できることがわかりました。それを可能にしたのは、アメリカにおいて、(1)そのような技術が競争市場の中で形成され、(2)ジョイスティック車による運転の評価および訓練を受ける公的な機関が存在し、(3)障害者用の駐車場などインフラストラクチャーが発達しているからです。日本においてはこれらのことがほとんど達成できていません。

さらに、アメリカの多くの州においては、(4)政府が車の改造費、運転の評価、訓練などの費用をすべて負担します。これらの費用は、最高で800万円くらいかかります。私は皆様のご支援によりまして、改造、評価、訓練を行いました。アメリカ政府はこれらを負担することによって、障害者に雇用の機会を与え、障害者にかかる年金などの費用を抑え、彼らから所得税などを得ることによって、結果として財政を潤すことになりました。また、それがベンチャー企業を育てる投資になりました。

よって今後、日本政府がこれらの費用を負担して障害者に運転の機会を与えることは、障害者へ日本政府が支出している現状の額を基準にすれば、社会の負担であるのではなく、社会全体に利益をあたえることになるでしょう。また、障害者も機会を与えられ充実した人生をおくることができます。ジョイスティック・システムの技術的なレベルでは、まだ克服する点はありますが、基本的にはアメリカ一周に耐えられるほど安全性、信頼性が高いことが明らかになりました。今後、ジョイスティックと相性のよい電気自動車の発展にともなって、さらなる発展があるかもしれません。

最後に、アメリカ一周が終了してみていかに支援者の皆様の力が大きかったのか感じました。野田聖子事務所、日本筋ジストロフィー協会、ジョイプロジェクト様のほうからは様々な情報提供、広報活動をしていただいたことにより活動を滞りなく行うことができました。また、団体では日本自動車工業会様、大塚製薬様、日本アムウェイ様をはじめ、個人では埜中征哉氏、桜宗佐氏をはじめたくさんの方から、私どもの活動に必要な資金を提供をしていただきました。

さらに、大塚製薬様、永谷園様、ポッカ様からアメリカ一周中の食品、飲料水などを提供していただき、口に合ったものが手軽に楽しめるという点で非常に助かりました。また、大王製紙様、日本アムウェイ様から提供いただいた生活必需品はとても使いやすく、アシックス様、ひまらや様からの衣料品も役にたちました。

そして、ドキュメンタリーを制作してくださったNHKをはじめ、資金提供を呼びかけてくださった読売新聞様、産経新聞様、日経新聞様、文芸春秋様などのマスメディアのほうには、取り上げていただき、活動を広く一般に広めていくことができました。その他、パーティーの手伝い、情報提供、応援のメッセージなど非常に多くの人が様々な形で協力してくださり大変助かりました。

本当にどうもありがとうございました。私たちがすばらしい経験、目的の活動をすることができたのは、皆様方のご支援あってのことと思っています。

今後は、日本で一人でも多くの障害者が運転できるように、またそれを社会が受け入れていけるように活動を広めていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

「ヨシを運転させるベンチャー」 代表 貝谷 嘉洋

平成12年6月10日