2001年3月2日(金)
東京都府中の運転免許試験場に行ってきた。実際に運転ができるかどうかの適性検査、私のカクタス号が教習用として使えるかどうかの審査を行うためだ。
千代田区の自宅から府中までは、高速を使えば1時間の距離。生まれて初めて、高速の利用料が半額になるチケットを利用した。障害者の移動の負担を軽減するための道路公団の配慮である。
「しまった!違う線に乗ってしまった」
私たちは前日から地図を見ていたにも関わらず首都高の間違った線に乗ってしまった。10時の約束に何とか間に合った。
「こんにちは。初めまして!やっとここまで来ました」
「いやー。陸揚が数ヶ月前でしょ。いつ来るかって待っていたんですよ」
適性検査の担当官、大津さん、浜川さんはとても感じがいい。コヤマ・ドライビングスクールの野沢さんらとジョイプロジェクトの渡辺さん
「ブレーキ、アクセル、右、左。はい。それでよし。何の問題もないな」
適性検査はものの1分で終わってしまった。ジョイスティック車は前にもジョイプロジェクトのものを1台見ているので、担当官たちは理解があったようだ。
次は、車が教習用として認められるかということ。車だけを貸してコースを回ってもらった。うまく写っていないが、この写真のカクタス号には検査官の人々が4名乗っている。
やはり車庫入れの時にどうしても一回切り返しが必要であるということだった。
そのあと教習所の方々と、試験場の教習所担当の役人と会合を持った。コースの説明などだけで簡単に終わるのではないかと思われた。ところが30分待っても会合が終わらないようだ。
――何かあったかな
不安であった。1時間弱で教習所の方々は会合から戻ってきた。教習所担当の役人は、結局、通常の
「正規の教習は認められない」
という結論をくだしたようだ。ちょっと複雑で私も途中まで説明を聞いてもよくわからなかった。
教習所担当の役人の言い分は簡単にいえば次のようなものだ。
「障害者は教習用の車を教習所に持ち込むことはできる。ただし教習用の車としては規定のサイズがあり、私の車はそれを上回っている。さらに、私の車は試験場のコースひいてはそれを準用した教習上のコースを、切り返しという減点対象なして周ることはできない。そういう状況を前提に正規の教習を受け、教習所で仮免許や本免許の実技検定を受けるわけにはいかない。すなわち車が大きすぎるので正規の教習を私が受けることはできない」
なお、カクタス号のサイズは電動車いすのまま乗り込むジョイスティック車としては最も小さいものだ。
とはいっても正規の教習でなければ、要するに私と教習所で私的な契約を結んで教習自体を受けることは構わない。普通の正規の教習を受ける人は、教習の途中で教習所の中で仮免をとり、本免許の実技までは教習所近辺で試験を受けることが出来る。しかし、私の場合は試験はすべて公的な試験場で受けなければならない。
かなりややこしいが、できるだけ簡単に説明した。
「バンザーイ!」
というわけには行かないが、とりあえず免許を取る道は開かれたということだ。
しかし大事なのは、このような警察庁の教習の対応はいかに理不尽であるかということだ。
「障害者が運転するのをサポートしていくどころか、普通の人が受けられる正規の教習さえも認めない」
ということである。私の場合はすでにアメリカで専門家によって運転装置を選定し、その操作方法を教えてもらったこそできるだけである。
しかし私の機能レベルの障害者が、免許を取ること自体はじめてのことなのだから、仕方がないといえば仕方がない。とはいえ、今後変えていかなければならないと思った。
